日本農業技術検定試験 合格者体験記 平成30年度

社会人になっても日本農業技術検定へ取り組む(JAハイナン)

 営農指導体制強化のため、JA職員の資質向上に日本農業技術検定試験を活用する。

 JAハイナンは、静岡県南部大井川の下流で御前崎半島に隣接する榛原郡南部の3農協(南榛原・榛原・ハイナン吉田)が平成5年に合併して誕生した農協です。当該地域は気候などの自然条件に恵まれ、レタスやミカン、花卉の生産のほか、茶の生産が盛んです。その中でも管内である大井川西岸に広がる牧之原台地は、わが国最大の茶生産地となっており、そこから生産される茶は最高の味と香りを誇っています。
 しかしながら、お茶の価格は高級茶の価格の低迷と4番茶を利用したペットボトル茶の普及・多様な飲料の消費拡大により、市場環境が大きく変動しています。当該農協としては、営農経済部が中心となって農協としての営農強化体制を図ることとし、平成30年12月に6チームの作物別指導体制を再編し、併せて人材の資質強化を進めることとしました。日本農業技術検定は、その準備として農業技術員、農業アドバイザーを対象に平成30年7月に2級25名が受験しました。結果は15名合格と好結果でした。農協では過去問題を配布し、職員は仕事の合間に独学で勉強しましたが、6科目が選択できる試験なので日頃の業務経験が活きたそうです。 農協の営農指導廻り(TAC)時に農家と話しても農業技術についての共通の認識が維持され、試験結果は農協理事会でも報告され、合格者は農協内で紹介されたとのことです。

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農業技術の知識取得の動機付け、勉学の到達度判定に効果的(名城大学農学部)

 名城大学農学部附属農場は名古屋市北に隣接する春日市にあります。農場実習は農学部学年定員約330名のうち、生物資源学科約110人が2年次で必須単位となっているほか、応用生物化学科や生物環境科学科の1年次・2年次の約180人が選択科目(農場実習・食品実習を含む)となっています。 農場の敷地は13haと広く、農地は10haを占め、作物(水田1ha),果樹、蔬菜、花卉、造園(竹類の見本園は全国有数)、畜産(鶏、牛)など6分野を網羅し、農場職員も教授1名、准教授4名、教職員のべ28名とかなりの体制となっています。
 同大学の卒業生は農業関連企業のほか、管内のJAや公務員として就職をすることが多いとのことです。日本農業技術検定については、平成30年第2回検定の2級団体受験から始めましたが、元々農業に馴染みのない学生が学科の授業や農場実習の体験だけでは制限がある中で、広く農業技術の知識を取得する上での動機付け、また自身の勉学の到達度の判定に役立てばという考えから取り組んだものです。就職するにあたりキャリアは必要ですし、JAや公務員(農業)に進んでも農業現場での共通の基礎的知識は求められるので、こうした検定試験の活用も農業技術の知識を取得する上での動機付け、また自身の勉学の到達度の判定に効果的であると認識しています。

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朝のHR前の学習も実施して「全員合格」に取り組む

 東京都立農産高等学校 食品科 松橋彩子

 本校では平成27年度から毎年12月に、2年生全員が3級を受験しています。園芸デザイン科、食品科各2クラスの合計140名全員合格を目標に取り組んでいます。平成30年度には最優秀校に選ばれ「全員合格」に大きく近づきました。 農業技術検定受験は普段の農業科目の復習として位置付けています。教材は、1年次当初に「過去問題集3級」「3級テキスト」を購入します。学習内容が科目「農業と環境」「食品製造」と重複する部分も多く、学習の定着を図るためにも活用しています。
 2年次からは試験の準備を始めます。本格的な試験対策は直前の11月から行います。3級は、知識を問う問題が出題されますので、くり返し学習をすることが合否を大きく左右します。2学期の授業の一部に、過去問を解く時間を設け、教員で分担し解説するなどしています。本校では朝のHR 前に毎日10分間、朝学習を実施しています。HR担当の協力も得て、この時間も受験勉強に充てています。しかし、基本的には、学校が勉強のペース配分を示し、成果を上げるための努力は生徒個人に委ねるスタイルをとっています。
 後半は、短時間で効率良く合格を狙う指導をしています。例えば、本校食品科の場合、「選択問題・食品系」の問題の殆どが、授業で学習済みで、生徒にとって難易度の低い問題が出題されているため、正答率100%を目指します。一方、「共通問題」は馴染みのない項目が複数出題されます。具体的には、害虫や農業機械についてです。生徒にとっては実際に見たことのないものが多いため、余裕がなければ試験対策から省いて良いと指示しています。害虫の種類1つに苦戦するのであれば、得意分野の「食品系」問題10題を確実に仕上げる時間に使う考え方です。農業技術検定3級の合格ラインは正答率60%が目安とされています。過去問を解く段階で、平均的に8割程度正答できることを目標として試験に備えます。 今年度から新たに個人表彰も設けられたそうです。本校の生徒にも、より高得点を目指している生徒もいます。「全員合格」並びに「個人表彰」両立を実現し、令和元年の初タイトルを狙います。

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